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REBOX5 テン年代殺し

REBOX5 テン年代殺し

メルキド出版

@merukido55

発行日

11/11/2023

初頒布イベント

年齢指定

全年齢

判型サイズ

A5

ページ数

166

頒布価格

1000

『REBOX5』特集 テン年代殺し 付録 この単巻ライトノベルがすごい!

序文
沖鳥灯 趣味(テイスト)の階級闘争──外との関係のために
本誌の特集は「テン年代殺し」。二〇一〇年代はことさら「震災・テロ・自己閉塞」などと代理表象された。テン年代(一〇年代)から二〇年代のアイコンの新海誠・庵野秀明・村上春樹を複数化の「趣味(テイスト)」で撃つ試みをしたい。

論考
砂糖円 「バーチャルYoutuber」キズナアイとVtuber試論
「キナアイ」が活動を開始したのは二〇一六年末のことである 。 僕は中学校二年生の一四歳で、スマートフ ォンは持たされていなかったのでPS Vitaの 画面で彼女のことを見た。

伊藤にしん ウェブノベル・ノスタルジア
玲音のお父さんが結構キモイ笑顔を浮かべ、矢島晶子さんは美少女ヒロインをやり、ロープライス抜きゲーにもエモいエンドが用意されていたゼロ年代。2ちゃんねるの時代でもあった。インターネットのいわば黄金時代に続き、 僕たちの青春の在所たるテン年代は、白銀時代と呼ばれるに相応しいも のだっただろうか。

きただ 宇宙に降る雪のように──海猫沢めろん『ディスクロニアの鳩時計』について
本論は、海猫沢めろんのSF小 説『ディスクロニアの鳩時計』について考察したものである。現在『ディスクロニアの鳩時計』(以後『ディスクロニア』と略) は 、2015年に電子書籍の形態で出版された「午前の部」と、2015年から2021年にかけて雑誌『ゲンロン』にて連載された「午後の部Ⅰ〜Ⅺ」の部分のみが公開されている。結末部分を含む単行本は2023年冬に刊行される予定だ。

短篇
松下 異世界衛星通信
ぼくらが生まれた2001 年という年は、アメリカ同時多発テロが起こった激動の年で、その10年後の2011年という年は東日本大震災という未曾有の大災害が起こった、これまた激動の年なのだが 、しかし、ぼくらが2001年と2011年という数字をヤバイものだと認識したのはもっと後、具体的には、定年間近で頭の禿げ上がった社会科教員の、あのセイレーンの歌 声にも似た、クラスメイトたちの過半数を眠りへと誘った声を聴きながら「世界史B」の現代史のページを捲っていたあの瞬間を待たねばならなかったのであり、したがってぼくらは生まれたその瞬間からあらゆる出来事に出遅れていた。

佐波長太郎 名前のない道
私はある物語を構想し、た。……

柊ひいる the age of violent bombs
少女は少年に訊いた。「恋とは爆弾のようなもの── ロバンソンよ、なぜか 分かるか?」

瀬希瑞世季子 世界対
母がまた癇癪を起して自分の部屋の中で暴れた。だから、これから部屋を片付けないといけない。

中川 二〇一六年
海の向こうで極右の大統領が生まれたころ、俺は資本主義の坩堝へと飲まれていた。

エッセイ
織沢実 SMAPを見ていた頃、私は幼かった。
四月のなか頃から井上陽水の音楽を聴くようになった。聴くようになったと云っても、代表的な歌が詰め込まれた出来合いの── つまりAppleMusic が提供するプレイリストを聴くばかりなのだけれど。

付録 この単巻ライトノベルがすごい!
序文
前川卓 いま、なぜ単巻ラノベなのか
いま、なぜ単巻ラノベなのか。本誌の編集長、沖鳥灯は序文「趣味(テイスト)の階級闘争── 外との関係のために」において、「テン年代に思春期を過ごした当事者たちが、時代の象徴性に抗い、個人的な体験に即してコンテンツを自由に語る」本誌の趣旨をのべている。そう、この「時代の象徴性に抗」うということを可能にするのが単巻ラノベという枠組みであると私は考える。どういうことか、そのわけをこの序文では書き記していこうと思う。

ブックレビュー
海猫沢めろん『左巻キ式ラストリゾート』(二〇〇四) 佐藤智史 
桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(二〇〇四) 瀬希瑞世季子
来楽零『ロミオの災難』(二〇〇八) 三千周介
泉和良『エレGY』(二〇〇八) 佐波長太郎
有沢まみず『銀色ふわり』(二〇〇八) 柊ひいる
江波光則『ストレンジボイス』(二〇一〇) 瀬希瑞世季子
浅生楽『ミネルヴァと智慧の樹』(二〇一〇) 三千周介
星空めてお『四月の魔女の部屋』(二〇一一) 初雪緑茶
石川博品『ヴァンパイア・サマータイム』(二〇一三) 柊ひいる
高山理図『ヘヴンズ・コントラクター』(二〇一五) 伊藤にしん
青井硝子『異世界自然の非常食』(二〇一五) 伊藤にしん
中里十『どろぼうの名人』(二〇一六) あかふし
御影瑛路『僕らはどこにも開かない』(二〇一六) 瀬希瑞世季子
桐山なると『オミサワさんは次元が違う』(二〇一八) あかふし
佐野徹夜『アオハル・ポイント』(二〇一八) 広場沈
瀬名快伸『君は彼方』(二〇二〇) 初雪緑茶
八目迷『琥珀の秋、0秒の旅』(二〇二二) 広場沈
枯野瑛『砂の上の1DK』(二〇二二) 砂糖円

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